道路からの高低差は、邸宅への期待感を高めるための「プロローグ」です。
圧倒的な存在感を放つ白い擁壁をキャンバスに見立て、華奢なブラックのライン(手摺)で空間を引き締める。
そのミニマルなコントラストが、訪れる人の視線を自然と上方へと誘導します。
一歩ずつ階段を上るごとに都市の喧騒が遠ざかり、空が広がり、プライベートな領域へと意識が切り替わっていく。
そんな「移動の体験」そのものを美しくデザインした、ドラマチックなアプローチ計画です。
階段を上がりきった先には、コンクリートの無機質さを和らげる枕木調のペイブメントと、風にそよぐ植栽をレイアウト。
足元にさりげなく埋め込まれたグランドライトは、夜になると幻想的な光の道となり、帰宅する家族を温かく迎え入れます。
機能的な動線を、心安らぐ「庭」の一部へと昇華させました。