都市においてプライバシーを守ることは、必ずしも外界を拒絶することを意味しません。
私たちが目指したのは、強固なセキュリティの中に「呼吸」を与えること。
有機的な温もりを持つ木目の「垂直線」と、無機質でシャープな白の「水平線」。
性質の異なる二つのラインを織り重ねることで、視線は遮りながらも光と風だけを美しく濾過(ろか)する、巨大なフィルターのようなファサードを構築しました。
「隠す」のではなく「透かす」ことで生まれる、開放と安心のパラドックス(逆説)をデザインしています。
ゲートの足元には、幾何学的なライン構成と対比させるように、乱形石の自然なテクスチャを配置。
直線の厳格さを足元の素材感で和らげ、邸宅としての品格と安らぎのバランスを整えています。
日中は陽光を浴びて白く輝き、夜はスリットから漏れる光が行燈のように街を照らす。
時間帯によって表情を変える、動的な美しさを内包したライン・コンポジションです。